コミュニケーションノート

2022.11.1 信頼関係を築くには、まず「聴く」こと!
 

前回は「できて当たり前の対話」を確実に行うための話し手と聞き手の心構えを紹介しましたが、相手との信頼関係を築くためにはどちらの心構えの方が大事だと思いますか?
 
「自分のことを分かってほしい」「自分の思いを理解してほしい」という気持ちから、まず「話し手」として丁寧に思いを伝えたいと思う人の方が多いのではないでしょうか?
実は、「聞き手」となって、相手が思っていること、相手が感じていることを丁寧に聴くことが、信頼関係を築く一番の近道になります。
 
人は、話を聴かされるよりも、自分の話を聴いてくれることで、安心感を覚え、話を聴いてくれる人に信頼を寄せます。そして、信頼を寄せた人からの言葉は、素直に聴くことができるようになります。
つまり、まず「聞き手」となって信頼を得た後に、「話し手」となって思いを伝えることで、信頼関係を築くことができます。
 
知り合って間もない人から「君の役に立ちたいと思っているよ。何でも言ってね。」と言われたら、どんな風に感じますか?
ケースバイケースですが、まだ信頼関係が出来上がっていない人からの言葉であれば、「この人は私のことをどこまで知っているのだろう?」「本当に信じていいのかな?」と感じてしまう人が多いのではないでしょうか。「私のことをまだあまり知らないはず」とか「まだ私の話をよく聴いてもらっていないはず」と感じている相手には、何を伝えても信じてもらうことは難しいでしょう。「まず私の話を聴いてもらって、私のことをよく知ってもらいたい」と思う人が多いのではないでしょうか。
 
ということから、信頼関係を築きたいと思う相手に対しては、まずは「どのようなことに悩んでいるのか」「どんな困難に直面しているのか」「どうなったらいいと思っているのか」「どんな助けがほしいと思っているか」などについて丁寧に聴いてあげましょう。ひょっとしたら、話しにくい内容で躊躇っているかもしれません。そんな時は、相手が話したくなるまでじっと待つのも「信じていること」を示す一つの方法になります。そして、相手の心が開くのを感じたら、「こちらがどんなことを期待しているのか」 「相手の力になりたいと思っていること」「自分の経験(自分はこんな時にはこうしたよ)」などについて心を込めて伝えてあげましょう。そうすれば、相手は大きく頷いてくれるでしょう。
 
相手に「信じてほしい」と言う前に、相手を信じ、相手の言葉に耳を傾けましょう。